Daily Risk Guard無料版とProp Firm Guardianの違いと選び方
cTrader でリスク管理系の cBot を探し始めると、多くの方が最初にぶつかるのが「無料版でどこまで守れるのか、有料版には何が追加されるのか」という比較の壁です。機能表を眺めても、そもそも「週次損失管理」や「最大ドローダウン監視」が自分の運用に必要なのかどうかを判断できないと、選びようがありません。
本記事では、ai-programming.xyz が無料公開している cTrader 専用 cBot「Daily Risk Guard」と、その上位版にあたる「Prop Firm Guardian」を題材に、両者の機能差を教育的に整理します。目的は売り込みではなく、「自分の運用にはどのレベルの守りが必要か」を判断する物差しを持ち帰ってもらうことです。
リスク管理には「時間軸の階層」がある
比較に入る前に、前提となる考え方をひとつ共有します。口座を守る仕組みは、監視する時間軸によっていくつかの階層に分かれます。
- 日次: 1日の損失に上限を設け、超えたらその日は手仕舞いする
- 週次・月次: 負けが続いた週や月に、より大きな区切りでブレーキをかける
- 累積(ドローダウン): 口座残高のピークからの下落幅を監視し、資金曲線全体の劣化を検知する
日次の管理は「熱くなった1日」を止めるのに有効ですが、毎日上限ぎりぎりの損失を繰り返せば、週単位では大きな傷になり得ます。逆に、週次や累積の管理だけでは「今日この瞬間の暴走」を止めるには反応が遅すぎます。つまりこれらは優劣の関係ではなく、守備範囲の異なるレイヤーです。どのレイヤーまで仕組み化するかが、ツール選びの軸になります。
Daily Risk Guard 無料版がカバーする範囲
無料版の Daily Risk Guard が担当するのは、このうち 日次レイヤーの自動化 です。機能は次のように整理できます。
- 実現損益と含み損益を合算した日次の損失額をリアルタイムに監視し、残り余力をチャートに常時表示する
- 上限の手前(デフォルトでは80%地点)でサウンドとポップアップの警告を出す
- 日次損失上限へ到達した時点で、保有中の全ポジションを成行で自動決済する
- 到達後に発注された新しい注文も検知し、即座にクローズして追加の損失拡大を抑える
- 次の日次リセットまでの残り時間をサーバー時刻基準で表示する
「監視 → 警告 → 強制決済 → 再発注の検知」という一連の流れが1日単位で完結しており、日次レイヤーに限って言えば、無料版の段階で一通りの仕組みが揃っています。動作の詳しいイメージは Daily Risk Guard の機能解説記事でも紹介しています。
Prop Firm Guardian で追加されるレイヤー
上位版の Prop Firm Guardian は、上記の日次機能を共通で備えたうえで、より広い時間軸の管理を追加する構成です。
週次・月次の損失管理: 「1日ごとには守れているのに、気付けば月間で大きく減っていた」という形の劣化を検知する層です。じわじわ型の負けは日次上限に一度も触れないまま進行することがあるため、区切りを広げた監視が意味を持ちます。
最大ドローダウン監視: 口座残高のピークからの下落幅を追う指標で、Prop Firm(資金提供型のプロップトレーディング会社)の失格条件として最も一般的な項目のひとつです。概念そのものの整理はドローダウンの基礎解説が参考になります。
最大ポジション数管理: 同時に保有できるポジション数を制限する機能です。ナンピンやポジションの持ちすぎといった「数の暴走」は、金額ベースの監視だけでは捉えにくいため、独立した制限として持つ意義があります。
主要 Prop Firm プリセット(8社)・日本語サポート: 業者ごとに異なるルールを個別に調べて設定値へ落とし込む作業を短縮できる仕組みです。
どちらを選ぶかの目安
一般論として、次のような整理が考えられます。
- 個人口座で、まず「1日の暴走を止める仕組み」を試したい方は、無料版で日次レイヤーを体験してみるのが自然な入口です
- Prop Firm のチャレンジや本番口座を運用していて、規約に日次以外の失格条件(累積ドローダウンなど)が含まれている方は、上位版のカバー範囲と規約を突き合わせて検討する価値があります
- 自作 cBot にリスク管理を組み込みたい開発者の方は、まず無料版の挙動を観察して、階層設計の参考にする使い方もあります
大切なのは、ツールの機能数ではなく、自分の口座に課されているルール(または自分で決めたルール)のうち、どのレイヤーがまだ仕組み化されていないか から逆算することです。
導入時に意識したいこと
どちらを選ぶ場合でも、共通して押さえておきたい前提があります。
まず、cTrader API の権限仕様(AccessRights.None)の関係で、この種の cBot は手動発注そのものを事前に禁止することはできません。上限到達後の注文は「発注された後に検知して決済する」動きになるため、急変時やスプレッドが開いた場面では、設定値をわずかに超えるケースが起こり得ます。Prop Firm の規約に対しては、余裕を持たせた閾値設計を検討してください。
また、リスク管理ツールはあくまで損失側のセーフティネットであり、エントリーロジックの質を高めるものではありません。導入したから安心、と攻めの側を緩めてしまうと本末転倒です。まずはデモ口座で警告や自動決済の挙動を確認してから、実運用へ移すことをおすすめします。
まとめ
Daily Risk Guard 無料版は日次レイヤーの守りを一通り自動化し、Prop Firm Guardian は週次・月次・ドローダウン・ポジション数へと守備範囲を広げる、という関係になっています。機能差の全体像は比較表として Daily Risk Guard 無料版の詳細ページにまとまっていますので、自分の運用ルールと照らし合わせながら確認してみてください。
導入手順を先に知りたい方はセットアップガイドも合わせてどうぞ。cBot 開発を体系的に学びたい方には、ai-programming.xyz のスクールや開発相談の窓口も用意されています。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資助言ではありません。 取引判断はご自身の責任で行ってください。