Range Compression Detector セットアップガイド|圧縮判定の閾値とサンプル本数の決め方
値動きが煮詰まった状態、いわゆる「レンジ圧縮」をチャート上で機械的に検知する cTrader 専用インジケーターが Range Compression Detector です。本ツールは現在、単品配布ではなく無料インジケーターパック「ボラティリティと資金管理セット(11本)」に収録された形で公開されています。
ツールのコンセプト(なぜ帯幅と ATR の同時収束を見るのか)は紹介記事で整理しているため、この記事では導入作業そのものと、設定値をどう決めるかに絞って解説します。同種の圧縮検知ロジックを自分で書いてみたい方にとっても、決めるべき項目の並びは共通するはずです。
入手からチャート表示までの流れ
Range Compression Detector の配布ページに記載のとおり、導入は次の 3 ステップで完了します。
- 無料配布ページでメールアドレスを登録し、「ボラティリティと資金管理セット」を受け取る
- cTrader の Automate タブから
.csファイルをインポートしてビルドする - 監視したいシンボルのチャートに追加する
cTrader は C# のソースをそのままインポートしてビルドできるため、外部 DLL を配置したり特殊なフォルダ構成を作ったりする必要はありません。なお本ツールは表示専用で、売買の指示や自動発注は行いません。権限も AccessRights = None の範囲で動作するため、導入時に外部通信の許可を求められることもありません。この前提は最初に押さえておきたいところです。
設定値を決める順番
パラメーターは多くありませんが、決める順番があります。「サンプル本数 → 分位数閾値 → 通知の扱い」の順で考えると迷いにくくなります。
サンプル本数(既定 100 本)
「直近どれだけの期間の分布と比べて、いまが狭いのか」を決める項目です。ここが実質的に判定の性格を決めます。
100 本という数字は、時間軸によって意味する長さがまったく変わります。5 分足なら 8 時間強、1 時間足なら 4 日ほど、日足なら数か月分の分布を見ていることになります。したがって「普段」をどのスケールで定義したいのかから逆算するのが基本です。1 日の中での煮詰まりを見たいのに日足で 100 本を使う、といったズレが起きやすいポイントでもあります。
本数を短くすると直近の環境変化に素早く反応する代わりに判定が頻繁に切り替わり、長くすると安定する代わりに反応が遅れます。このトレードオフはATR Percentile Rank のセットアップガイドで扱った考え方と同じで、分位数ベースの指標に共通する性質です。
分位数閾値(既定 下位 20 パーセンタイル)
「どこまで狭ければ圧縮とみなすか」の線引きです。既定では、サンプル期間の下位 2 割に入っていれば圧縮と判定します。
閾値を 10 パーセンタイルまで絞ると、本当に極端な収束局面だけが残ります。検知の頻度は下がりますが、一件あたりの意味は濃くなります。逆に 30 パーセンタイル程度まで緩めると検知は増え、日常的な小休止も拾うようになります。どちらが正しいという性質のものではなく、自分がチャートを見に行ける頻度と釣り合う水準を選ぶのが現実的です。まずは既定値のまま数週間観察し、検知の多さが自分の運用リズムに合っているかを確かめてから動かすことをおすすめします。
圧縮解除の通知をどう受けるか
圧縮状態から抜けたタイミングは cTrader の Log に出力されます。裁量で使うならログを開いて対象シンボルを確認する運用、システム側で使うなら cBot のロジックにフラグとして渡す運用が想定されます。ここは「検知したあと自分は何をするのか」を先に決めてから設定したほうが、通知が流れっぱなしになる事故を防げます。
時間軸別のセッティング例
同じ設定でも、時間軸によって読み方は変わります。
- 5 分足 × 100 本: 数時間のレンジの中での煮詰まりを見る設定です。セッションの静かな時間帯を可視化する用途に向きます
- 1 時間足 × 100 本: 数日スケールでの収束を見る設定です。指標発表待ちで動きが細っている局面などを拾いやすくなります
- 日足 × 100 本: 数か月スケールのボラティリティのサイクルを見る設定です。長期のレンジ形成を観察したい場合の参考になります
いずれの場合も、単発の判定より「圧縮が何本続いているか」「解除に向かっているか」という推移で読むほうが情報量が多くなります。ボラティリティ指標そのものの前提を確認したい場合は、ATR の基礎解説やボリンジャーバンドの基礎も合わせて確認しておくと解釈が安定します。
導入時に意識したいこと
圧縮の検知は「いまが狭い」という現在の状態を示すもので、そのあと価格がどちらへ動くかを示すものではありません。圧縮が解けた後に一方向へ伸びる局面もあれば、そのまま狭いレンジに戻る局面もあります。方向の判断は上位足の環境認識など別の材料と組み合わせる前提で扱うものだと考えてください。
また、損切り幅・ロットサイズ・許容ドローダウンといったリスク管理のルールは、本ツールとは切り離して用意しておくものです。導入直後はデモ環境で、自分の手法や時間軸と表示の整合が取れているかを確認してから実運用に組み込むほうが安全だと考えられます。
まとめ
Range Compression Detector のセットアップは、無料パックの受け取り → .cs のインポート → チャートへの追加という流れで完了します。設定面の要点は次の 3 つです。
- サンプル本数は「何と比べて狭いと言いたいか」の時間スケールから逆算する
- 分位数閾値は自分がチャートを見に行ける頻度と釣り合う水準に置く
- 通知を受けた後の行動を先に決めてから運用に載せる
収録パックの内容や配布条件は、Range Compression Detector の詳細ページで確認できます。こうした表示系インジケーターを自分の手で実装してみたい方には、AI PROGRAMMING のスクール教材が cAlgo API を触る入り口として参考になるはずです。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資助言ではありません。 取引判断はご自身の責任で行ってください。