Daily Range Completion Gauge セットアップガイド|ADR期間と警戒閾値の決め方
当日の値幅が ADR(Average Daily Range:過去N日の平均日中レンジ)の何割まで進んだかを % ゲージで表示する cTrader 専用インジケーター Daily Range Completion Gauge は、現在、無料インジケーターパック「ボラティリティと資金管理セット(11本)」に収録されて配布されています。
「なぜ日次レンジを相対値で見るのか」というコンセプト面は紹介記事で扱っているため、この記事では導入作業そのものと、2つしかない設定項目をどう決めるかに絞って整理します。設定の考え方は、同種の日次ボラ系インジケーターを自作する場合にもそのまま応用できるはずです。
入手からチャート表示までの流れ
Daily Range Completion Gauge の商品ページに記載のとおり、本ツールは単品販売を終了し、無料パックへの収録という形に移行しています。手順は次の3ステップです。
- 無料配布ページでメールアドレスを登録し、「ボラティリティと資金管理セット」を受け取る
- cTrader の Automate → New Indicator から
.csファイルを読み込み、ビルドする - 表示したいシンボルのチャートに追加する
cTrader は C# ソースをそのままビルドできるため、DLL の配置や外部ランタイムの導入は不要です。本ツールは外部 API 通信もライセンス認証も持たない表示専用の構成で、売買の指示や自動発注は一切行いません。この点は導入前の前提として押さえておいてください。
なお、ADR の算出には日足バーを内部的に取得する設計になっているため、5分足に載せても1時間足に載せても表示される消化率は同じ値になります。時間軸ごとにパラメーターを作り分ける必要がないのは、運用上の手間を減らしてくれる部分です。
主要パラメーターの設定指針
設定項目は ADR Period と Warning Threshold の2つだけですが、それぞれ意味を理解しておくと表示の解釈がぶれにくくなります。
ADR Period(既定 14 日)
平均日中レンジを何日分から求めるかを決める項目です。ここを短くすると直近のボラ環境に素早く追随し、長くすると季節性や一時的な急変に引きずられにくい安定した基準になります。
判断の起点は「自分が比較したい期間はどのくらいか」です。直近の相場つきと比べたいなら 10 日前後、月単位の平常値と比べたいなら 20〜30 日、といった具合に逆算します。ADR そのものが何を測っている数値なのかを整理したい場合は、ATR の基礎解説が近い考え方の参考になります。
ひとつ注意したいのは、指標発表や祝日でレンジが極端に振れた日も平均に含まれるという点です。集計期間が短いほど、その1日の影響が基準値を押し上げたり押し下げたりします。表示された ADR が体感とずれていると感じたときは、直近に異常値の日がなかったかを疑ってみてください。
Warning Threshold(既定 80%)
消化率がこの値を超えると、表示色が警戒色に切り替わります。既定の 80% は「平常時のレンジをおおむね使い切った領域」を示す素直な設定です。
閾値を 90% 付近まで引き上げると、色が変わる場面はかなり限定され、本当に伸び切った日だけを拾う保守的な運用になります。逆に 60〜70% まで下げると切り替わりが頻繁になり、早い段階で警戒モードに入る設計になります。どちらが適切かは手法によって変わるため、まずは既定値のまま数週間観察し、自分の取引時間帯でどのくらいの頻度で色が変わるかを確認してから調整するのが現実的です。
銘柄・セッション別の読み方
同じ消化率でも、銘柄と時間帯によって意味合いは変わります。
- 東京時間の高消化率: アジア時間だけで平常レンジの大半を使った状態です。欧州・NY 時間にさらに伸びる展開もあるため、打ち止めの合図と機械的に読むのは適切ではありません
- NY 後半の高消化率: 残り時間が少ない中での高消化であり、時間的な制約と組み合わせて解釈しやすい局面です
- 早い時間帯の低消化率: まだ値幅の余地が残っている状態と読めますが、そのまま静かに終わる日も当然あります
- 複数銘柄の横断比較: % という相対値なので、値幅の単位が違う銘柄同士でも「どちらが動き切っているか」を同じ物差しで並べられます
日をまたぐ運用をしている場合は、消化率が日次でリセットされる点も意識しておきたいところです。前日から持ち越したポジションにとって、当日の消化率は「保有開始からの動き」ではなく「その日の中での進捗」を表す数値になります。
導入時に意識したいこと
消化率はあくまで現時点までの結果を集計した数値であり、この先どこまで動くかを示すものではありません。閾値を超えた後に平常レンジの倍以上まで伸びる日もあれば、超えないまま終わる日もあります。ゲージ単独でエントリー方向を決める使い方は、そもそも設計思想として想定されていません。
損切り幅・ロットサイズ・1日あたりの許容損失といったリスク管理のルールは、本ツールとは別の軸で用意しておく必要があります。導入した直後はデモ環境や小さめのロットで、自分の手法や時間軸と表示の整合性が取れているかを確かめてから実運用に組み込むことをおすすめします。
まとめ
Daily Range Completion Gauge の導入は、無料パックの受け取り → .cs のインポート → チャート追加の3ステップで完了します。設定面での要点は次の3つです。
- ADR Period は「何と比べたいか」の時間スケールから逆算する
- Warning Threshold の 80% は出発点であり、観察してから自分の頻度感に合わせる
- 表示される % は結果の集計であって、この先の値動きを示す数値ではない
パックの収録内容や表示イメージは、Daily Range Completion Gauge の詳細ページから確認できます。こうした表示系インジケーターを自分の手で書いてみたい方には、AI PROGRAMMING のスクール教材が cAlgo API を触り始める入り口として参考になるはずです。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。投資助言ではありません。 取引判断はご自身の責任で行ってください。